導入事例 石炭海上輸送の配船計画最適化
計画業務は非常に楽になりました。当初想定になかった様々な分析にも活用でき、業務効率化に繋がっています。
計画業務は非常に楽になりました。当初想定になかった様々な分析にも活用でき、業務効率化に繋がっています。
東北電力株式会社

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東北電力株式会社

石炭の配船計画の作成業務は、石炭輸送船でサプライヤーから石炭を受け取り、火力発電所に届ける一連の計画を作成する業務です。それぞれ複数ある船・サプライヤー・火力発電所には多くの制約がある中で、火力発電所の石炭在庫を維持しつつ、石炭代・運賃・滞船料などのコストを極力抑える計画としなければなりません。さらに、荒天や設備トラブルといった不測の事態など、日々の状況変化に応じて年間を通した計画を組み直す必要がありますが、複雑な上に柔軟性が求められるために、従来は熟練者の経験を頼りに行ってきました。そこでALGO ARTISは東北電力の協力の下、同社の経験やノウハウをAI(アルゴリズム)に組み込むことで、配船計画の最適化ソリューションを開発しました。当ソリューションを導入した背景やその成果について話を聞きました。

導入前の課題
  • 表計算ソフトで管理
  • 熟練者ではないと策定ができなかった
  • 試行錯誤しながらコスト・リスクのバランス点を探索
  • 頻繁な計画修正があり、業務を圧迫
導入後の効果
  • 配船業務に特化した直観的UI(ユーザーインターフェース)
  • アルゴリズムによる計画提案で非熟練者をサポート
  • 低コスト・低リスクな配船計画
  • 計画作成時間の大幅な短縮

Interview

お客様の声

配船計画最適化ソリューションを開発定量分析・シミュレーションにも活用し業務効率化

燃料運用計画最適化ソリューションを開発
複雑な計画を非熟練者でも短時間で策定可能に

[お話を伺った方]
(左)  発電カンパニー 燃料部(燃料購買)主任 竹内啓祐様
現在石炭の調達・配船業務を担っており、当ソリューションを日々現場で活用し配船計画を策定している。
(右)  海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員(東北電力 グループ戦略部門 戦略企画ユニット付)鈴木芳明様
導入当時、石炭の調達・配船業務を担っており、当ソリューションの導入にあたり推進リーダーをご担当されていた。

配船計画は一日がかりの業務であり、計画の見直しも毎日のように発生していたため、そのころは常に配船を考えていたと思います。

デジタル化は根気がいる作業、二人三脚でやっていけるパートナーとしてALGO ARTISが一番適していると感じました

海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員 鈴木芳明様
ノウハウが伝承できていないことが大きな課題
鈴木様
2018年の7月に燃料部に配属され配船業務を担当することになってから、ノウハウが伝承できていないことを強く課題感として感じました。業務が属人化されており、これまでの担当者がどうやって策定していたのかが見えていませんでした。自分が担当するようになってからも、休暇も簡単には取れませんでしたし、配船計画は一日がかりの業務であり、計画の見直しも毎日のように発生していたため、そのころは常に配船を考えていたと思います。
策定した計画が正解なのか誰も検証できていなかった
鈴木様
配船計画は、石炭・船・発電所の3つをマッチングさせる業務であると考えています。そのマッチングにあたって一番大切なのは安定供給を行うためのタイミングですが、加えて運用コスト(石炭代・運賃・滞船料など)も見える必要があると考えていました。しかし、その運用コストが全く見えておらず、自分が策定した計画が正解なのか誰も検証出来ていませんでした。その点も大きな課題だと感じていました。

石炭配船業務は要件が頻繁に変わるため、顧客の仕様に合わせたアジャイル開発に強みがあるALGO ARTISが良いと考えました。

アセスメントの段階で自分達が思っていた以上の成果を出してくれたので、次に繋げることが出来ました

海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員 鈴木芳明様
関西電力の燃料運用計画最適化の取り組みを紹介され、興味を抱いた
鈴木様
ALGO ARTIS(当時の株式会社ディー・エヌ・エー、以下ALGO ARTIS)を最初に知ったきっかけは、ディー・エヌ・エーの様々な取り組みを紹介する説明会でした。その時に関西電力の燃料運用計画最適化に関する取り組みを紹介され、個人的に興味を持ちました。しかし、当時はまだ社内的に予算も取っておらず、こういったシステムを開発するといった構想も全くありませんでした。
業務効率化アイデアの社内公募で選定
鈴木様
説明会の後、何度か永田さん(ALGO ARTIS 代表取締役社長)と話をしていたのですが、ちょうどその頃に企画部門から業務効率化のアイデアに関する社内公募があったため、「石炭配船自動化」というテーマで応募をしてみました。もし予算がおりたら面白い取り組みになるという感触はあったのですが、実際にその公募で選定されることとなり、本格的に検討を開始しました。
顧客の仕様に合わせたアジャイル開発に強み
鈴木様
社内的に本格検討が開始されてからは、ALGO ARTISを含めた3社と協議を進めました。検討を進める中で、特に石炭配船業務は要件が頻繁に変わるため、決まりきったシステムにあてこむより、新しくゼロから作る方が良いと考えていました。そういう意味では、顧客の仕様に合わせたアジャイル開発に強みがあると感じたALGO ARTISが良いと考えました。

多くの人がプロジェクトに関与しており、かつ泥臭い現場感があったため、チームプレイをしている感じが強くありました。

トラブル発生時に複数パターンの変更計画を作り、最適な手段を選択できるという点が非常に使いやすいです

海外電力調査会欧州事務所 副主任研究員 鈴木芳明様
超えなければいけないハードルはいくつもあった
鈴木様
いざ開発を進めるとなってからは、超えなければいけないハードルがいくつもありました。セキュリティチェックなど社内的な手続き含めてハードルが多かったことに加え、システム開発にあたり社内の関係部門も多く、この調整業務も苦労した点です。進め方に関しても、これまでの当社の考え方と大きな違いがありました。当社がこれまで経験してきたシステム開発は決まったものを作っていく形が多かったため、PoC(Proof of Concept)やアジャイル型開発といった考え方を社内に説明し理解を得ることは簡単ではありませんでした。また、今まで自分が常識的に考えていたものも改めて条件に落としこむ必要があり、ミーティングを行うたびに要件が膨大になっていくため、システム化とはこれ程大変なんだと知りました。
配船業務の大変さが分かるからこそ、少しでも業務を変えたい
鈴木様
ただ、やはり配船業務の大変さが分かるからこそ、少しでも業務を変えたいという思いはありました。また、単純にこういった新たなシステムの開発が新鮮で楽しいと感じていました。多くの人がプロジェクトに関与しており、かつ泥臭い現場感があったため、チームプレイをしている感じも強くありました。週一でミーティングをしていましたが、前週に出た課題の解決方針をすぐ出してくれていたので、一歩一歩進んでいる感じがしました。

計画業務は非常に楽になったと感じています。当初思っていなかった使い方も出来ており、業務効率化に繋がっています。

一定の石炭運用スキルを有していれば容易に業務が行え、業務全体の効率化にも繋がっていくと感じています

発電カンパニー 燃料部(燃料購買)主任 竹内啓祐様
配船業務を覚えながらのシステム開発
竹内様
2021年7月に鈴木が異動となり、私が後任となってシステム開発に携わりました。異動してきたばかりだったため、配船業務そのものを覚えながらシステム開発を行う必要があり、週次の打ち合わせは正直負担があったのですが、無理やりにでも引っ張って推進していただきました。こういった会社は世の中にそれほど多くないと思います。結果的に、システム開発を通じて、配船業務に対する理解も相乗効果的に進んでいったと感じています。使い始めはまだまだ思った通りの結果が出ないときもありましたが、機能の改修や使い方など試行錯誤を重ねた結果、最適化結果から新たな気づきを得ることもあり、システムの凄さを実感できるようになってきました。
計画策定の属人化解消に繋がる
竹内様
元々課題であった配船計画を作るところの属人化に関しては、システム化によって解消に繋がってきていると思います。但し、状況変化に合わせて入力データを最新の状態に保つことなど、システムの使い方に属人的な部分がまだ残っているため、今後の課題と考えています。石炭価格の乱高下など、開発当初と異なる状況も出てきたため、それらも踏まえていかに望むものが実現できるようにしていくかという点では、まだ改善余地があると思います。
想定になかった新たな使い方
杉江様
環境変化が大きい時代のため、短時間に様々なパターンの計画を作成できるようになり、計画業務は非常に楽になったと感じています。また、データの抽出や加工がし易く、欲しいデータが揃っているため、急な資料作成を求められたときにも、このシステムを使って対応するのが一番早いと感じています。このようにデジタル化を推進したことにより、当初思っていなかった使い方も出来ており、業務効率化に繋がっています。

今後もワクワクするような新たな使い方が考えられると期待しています。他にも属人的な仕事は社内にたくさんあると思うので、是非ご相談したいと思います。

このシステムを使うことで今ある運用を、よりよく変えていけるのではないかと考えています

発電カンパニー 燃料部(燃料購買)主任 竹内啓祐様
今後の期待
竹内様
ALGO ARTISは、手厚いフォローが他社にない強みだと思います。自分たちが手の届かないところまでフォローいただけるので大変助かっています。また、論理的思考力が強い人が多く、自分たちの抽象的な言葉をうまくまとめて頂けるので、週次の打ち合わせはとても楽しいですし、私達の勉強にもなっています。このシステムを120%活かしきるために、まだまだシステムの使い方も含めて習熟していかないといけないと感じており、色々な人が活用しながらブラッシュアップしていければと思っています。今後もワクワクするような新たな使い方などが考えられると期待しています。他にも属人的な仕事は社内にたくさんあると思うので、是非ご相談したいと思います。
鈴木様
ALGO ARTISとは、一緒に仕事が出来て良かったと思っています。システムについての知見が溜まったということもありますが、DXが世間で注目されている中で、そのど真ん中の経験が出来たことも貴重だったと感じています。まだまだ世の中には最適化すべきものはたくさんあると感じているので、ALGO ARTISには様々な領域での活躍を期待しています。
資料提供 : 東北電力株式会社
※ページ上の内容は2023年5月時点の情報です。

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